長野県川上村にある「小川山」は、クライミングの聖地として知られています。日本のヨセミテと呼ばれることもある岩場は、全国から多くのクライマーが訪れます。何と言っても、キャンプサイトは標高1570メートルの高地に位置し、真夏でも涼しく快適に過ごせるのが魅力です。
その川上村はレタスの一大産地としても有名で、広大なレタス畑が広がっています。観光地として名高い清里や八ヶ岳、野辺山高原もすぐ近くにあり、それらに比べると川上村は地味に映りますが、一面に広がる畑と、心のこもった手入れの行き届いた花壇は、華やかさとは別の心安らぐ美しさがあると感じます。村の人々は親切で温かく、畑では常に誰かが働いている姿を目にします。最近では海外からの労働者も多く、高齢化や人手不足といった社会事情も垣間見えます。
道路は農作業車が優先的に行き交い、収穫や運搬に特化した独特の車両を見かけるのも、ここならではの楽しみです。
今年の夏は猛暑と少雨で農家にとっては厳しい環境だったことでしょう。スーパーでレタスの値段が上がると家計には響きますが、その背景にある農家の労力や天候不順を思えば、不満よりはむしろ、川上村の畑と収穫作業をしている人々の姿が思い浮かび、感謝の思いが勝ります。
そんな川上村でのクライミング中、もう一つ心に残る出来事がありました。
岩場で登っていると、登山者風の6〜7人のグループが現れ、なぜこんなところに?と思っていると「この岩は何という名前ですか?」と尋ねてこられました。彼らは地元の消防団で、救助要請があった際に備え、地形や岩の名称を把握するために歩いて確認しているとのことでした。
思わず「ありがとうございます。お世話になります」と頭を下げました。このエリアでは、私たちはキャンプ代こそ払っていますが、自然の中で自由に活動させてもらっています。どれだけ気を付けても事故のリスクはゼロではありません。実際、これまでにここでヘリが飛ぶのを何度も目にしてきました。万が一事故を起こせば、自分自身が一番大変なのはもちろんですが、同時に地元の方々に多大な負担をかけることになります。
そのような中で、消防団の方々が普通ならクライマーにしかわからないような岩の名称まで確認し、いざというときに備えて活動してくれていることを知って胸が熱くなりました。ありがたいやら申し訳ないやら複雑な気持ちが交錯しましたが、やはり感謝の思いが大きく、地元の人の理解と支えがあってこそ、私たちはクライミングを楽しむことができることを再認識しました。
川上村のレタス畑の風景と働く人々、そして地元の消防団の方々姿がこの夏の記憶になりました。
弘瀬ガイド事務所の全体スケジュールは以下です。https://hirose-guide-office.com/schedule/


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